ワンラブ~犬系男子とツンデレ女子~
あたしのために勝って。
だなんて、言えないけど。
君がやると言うのなら。
これ以上反対なんて、できっこない。
あたしは見守ることしか出来ない。
「じゃ、1つだけ約束して」
「うん」
「無茶だけはしないで」
たとえばワンが負けたとしても。
あたしが安藤とデートしたとしても。
それから先は、なにも変わらない。
「見てるこっちが怖い。もうあんなの、いやだからね」
「あんなの?」
それは夏休み、ワンが溺れかけた男の子を助けた時のこと。
ワンが目を覚ますまでの時間が、どれほど長かったか。
「あ…夏休み?」
「それ以外ないでしょ」
キッと睨んだあたしを見て、ワンは「あはは」と無邪気に笑った。