ワンラブ~犬系男子とツンデレ女子~
あたしが心配すると、ワンは決まって嬉しそうなんだよな。
「無茶はしない。だけどオレ、負ける気もないから」
左足は、すでに限界に近いんじゃないだろうか。
少しの負担にも堪えかねるほど、痛いのではないだろうか。
あたしの不安は募るばかりだった。
「オレも1つ、約束してほしい」
「なに?」
「勝ったらキス」
?!
「しよう」
ワンは、あたしの目を真っ直ぐに見つめる。
「…そんなの、約束なんてしなくても、ダメって言うわけないでしょ」
そう言ったあたしの赤くなった頬を見て、ワンはまた嬉しそうに笑った。
それからワンは、「足のことは絶対誰にも内緒」だと言って、軽いテーピングだけでコートに出ていった。
あの人に「無茶しないで」だなんて、言うだけ無意味だったかな。
と少し思った。