ワンラブ~犬系男子とツンデレ女子~
俺は彼女の前に、ティーカップに入ったコーヒーを置いた。
白い湯気がたつコーヒーは、その振動で少し震えた。
「…結婚しなかったの?」
怒られるか、冷たくあしらわれるのを覚悟で、俺は唐突に切り出した。
プライベートである今も、あの細い薬指には、指輪がはめられていなかったから。
「熱っ…!」
カップに口をつけていた彼女は、それを勢いよく離した。
熱々のコーヒーで、舌を火傷したらしい。
「なに、ドジなの?」
「あ、あなたがいきなり変なこと聞くからでしょ?!」
そりゃ、それもあるけど。
そんなに動揺するとは、こっちも思わないし。
「大丈夫か?」
水の入ったグラスを差し出しながら、俺は彼女の顔をのぞき込む。
「えぇ…」
グラスの水を一口飲むと、彼女は一息ついた。