ワンラブ~犬系男子とツンデレ女子~
「からかわないで。私は恋愛なんてしない」
「なんで」
頑なに拒絶する理由。
それには多分、一年前のことが関係しているんだと、俺は確信していた。
「…二股、かけられていたのよ」
彼女は静かに言った。
「それでもかまわないって、最終的に私を選んでくれるならって、思ってた」
なんとなく、分かっていたのかもしれない。
聞いてしまったら、もう後には引けなくなることも。
恋愛することさえ止めさせてしまうほどの理由が、どれ程のものなのかも。
それでも知りたいと思った。
「だけど結婚の話が進むと、彼は姿を消した」
「消した…って」
「二股相手と一緒に」
それってつまり、駆け落ち…とまではいかなくとも、それに近い行為だよな。
「信じてたものが、一気に崩れ落ちた。しばらくは、なにもする気が起きなかった」
淡々と話しているようにも思われる彼女の口調は、よく聞くと語尾が震えていた。
「今日はその事を、ここのオーナーに報告しに来たのよ。1年前の、ことだけれども…」
「オーナーとは、どーいう関係?」
「父よ」