ワンラブ~犬系男子とツンデレ女子~



頭が混乱しているところに、追い撃ちをかけるような大場さんの言葉。



「病院…?」

「あ、はい。古傷があるって…」



それが今日、遅れてきた理由?



クラスメートは知っていて、彼女はなんにも知らないの?



遅刻してきたことさえ、正くんに会わなかったら、あたしは今でも知らなかっただろう。



一歩踏み込むと、こうなるから。



だからいっそ、近づかないでいたいと。



そらで満足できたなら、どれほど楽か。



「あの…鮎沢さん、大丈夫ですか?」



彼女はなにも悪くない。



ただ、羨ましい。



嘘までついて守ってもらえて。



踏み込んでも踏み込まなくても、不自然ではない関係で。



「あ、うん。大丈夫。ごめん、あたし帰るね」

「え、横井くん待ってたのでは…」



集めた本を彼女に渡して、あたしは教室を飛び出した。



外に出た瞬間、マフラーを忘れたことに気が付いた。



だけどもう遅い。


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