ワンラブ~犬系男子とツンデレ女子~



――――“ズササササーッ”



倉庫の裏には、急斜面。



そこへ稀衣ちゃんと2人で落下してしまったみたいだ。



「イテテ…」

「ワンっ、大丈夫?!」

「稀衣ちゃんは?怪我ない?」

「あたしは平気だけど…っ」



よかった。



「ならオレも平気」



運がいい、ちょっと背中打ったくらいだ。



オレが笑うと、稀衣ちゃんは青ざめた顔から、安堵の表情へと変わった。



「これからどーしよっか」



上までは数メートルも先。



どうやらただの斜面ではなく、穴のようになっているらしい。



「ケータイもないし…誰かが気付いてくれるまでは、どうすることも出来ないね」



その通り。



自力で出るのも難しい。



唯一の救いは、穴の中に雪はなく、気温も外よりは低くないこと。



これなら少しくらい、肉体的には耐えられる。



残す最重要問題は、精神だ。



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