ワンラブ~犬系男子とツンデレ女子~



なんでだろう。



絶対に笑って、顔を上げてくれると思ってた。



だって、いつものワンはそうだから。



寒さのせい?



あたしが待たせすぎた?



そんな事で、表情を崩す人じゃない。



じゃあなに?



「どっか場所かえよっか」

「…うん」



いつもと違うワンに、ただ頷くしか出来なかった。



テクテクと歩いていくワンの少し後ろを、見失わないようについていく。



会話はなかった。



息苦しい。



「…ねぇ、なんか怒ってる?」

「怒ってないよ」



振り返りもせず、ワンは言った。



口調は優しいのだけれど、それはワンとは違う。



あたし達は、小さな公園に入った。



もちろん人はいなくて、街灯1つでは薄暗い。



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