【短編】 曇り空
曇り空
ふと

俺は目を覚ました


北校舎の屋上

晴れていた空はいつの間にか雲に覆われて
一面灰色だった


懐かしい夢を見た


ほほを拭う


冷たい跡を消し去った



「・・・美紅・・・。」


あの時
白衣を握っていた両手を見つめる


今までも
これからも
きっとあなたは消えることは無いだろう


胸の奥が締め付けられて
俺はそんな自分自身を哀れむかのように鼻で笑った


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