姫様にkiss



……あった…っ!!



朔真と会った頃よりも一回り大きくなっていたけれど、青々とした葉をしげらせているこの木は、確かにあの思い出の木だ。



「朔真、この木覚えてる?」
「あぁ、もちろん。」



びしょ濡れで傷ついていた朔真と、無感情に生きていたあたしが出会った場所。



根本には子供が遊んで忘れていってしまったのか、小さなボールが転がっていた。



「ママ、どぉしたの?泣いてるよ?」



朔李にそう言われて気付いた。



あたしの頬を涙が伝って地面に落ちる。



「はい、ママ。」
「ありがと優李。」



優李もあたしが泣いているのに気付いたのか、ハンカチを貸してくれた。



それでも涙が止まることはない。






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