誘拐 ―おまえに決めた―

「俺はよく家を抜け出しては、クルマの家に行ってた。血はつながっていなくとも、クルマと両親はすっげぇ仲が良くってさ。家族ってこういうものだよなって思ってた。羨ましかった。

俺が入り浸っていても、『色々あるわよね』と何も聞かず、一緒にご飯食べさせてくれてさ」


クルマの両親の話をするときのリクは嬉しそうで、心が痛む。


リクが望んだもの、私が望んだもの、それをクルマは持っていたのだ。


< 200 / 225 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop