誘拐 ―おまえに決めた―
「そんなクルマの家の工場が傾いて、そしてお袋さんが体調悪いって聞いた。
でも銀行は金を貸し渋る。調子のいい時だけ必要ないのに無理矢理貸してさ、本当に酷い銀行だよ。
最近知ったんだよ、それがうちの祖父の銀行だってな。そして伯父の銀行でもあったがな。ボロ儲けさ」
「あの銀行、そうなんだ」
義理の父親が使っていた銀行。
ああ、あの銀行はリクのおじいちゃんの銀行だったのか。
「だけれど、クルマから偶然にその計画を聞いてまずいと思ったんだ。そもそもそれは道理に反することだし、トイチに騙されているのは明らかだった。
それにあそこのセキュリティのことを知ってるからな。」