誘拐 ―おまえに決めた―

「俺は祖父に引き取られてから、おまえに何度か会いに行った。だけど数回目に施設に行った時、おまえはよその子になっていた。規則でどこに貰われたか教えてはいけないんだってさ。

クルマのような地元の・・・・・・、町の工場だったら分かりやすいんだけどな。しつこく聞いたけれど、教えてもらえなかった。どこかで幸せに暮らしてるって、思いこむしかなかった」


くしゃり、リクは私の髪を撫でじっと見つめる。

寂しいような、切ないような瞳で。


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