19の夏~私の愛した殺人鬼~

「ネコ! そんな格好で出んじゃねぇ!」


 青年の後ろからの怒鳴り声に、幸也はハッと我に返る。


「……ネコ?」


 幸也の疑問系の言葉に青年は、

「俺の名前」

 と、一言返した。


「……ネコ。俺は新田幸也」


 自然と、右手を伸ばしていた。


 まるで磁石のように、ネコという異質な名の青年に引きつけられる。


「依頼者か?」


 ネコは差し出された幸也の手を握り返さず、冷たさで包み込まれたような口調で言った。


「あ……あぁ」


 行き場のなくした右手を引っ込めて、幸也は口元に愛想笑いを浮かべる。


 客の方が気を使って笑顔を見せるなんて、前代未聞だ。


「入れ」


 ネコは表情を崩すことなく、幸也を蒸し風呂のように熱いプレハブ小屋へと招きいれた。


 これが、新田幸也とネコの最初の出会いだった……。


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