19の夏~私の愛した殺人鬼~

「お前は一応女なんだぞ? こんな夜中に一人で出歩くな」


 栗田に軽く頭を叩かれて、頬を膨らませる。


一応ってなによ、一応って。


 昔からの知り合いのため、紗耶香と栗田の関係がグッと近いように見える。


 こんなことを言うと藤堂がまた嫉妬しそうだが、二人で座っている所を見るとおにあいだ。


「死んだら星になるって、嘘だよねぇ……」


 視線を夜空に浮かぶ星へと向けて、不意に紗耶香がそんなことを言い出した。


 栗田も、それにつられた夜空を見上げる。


 満点の星空が木々の葉の間から見え隠れし、時折吹く風で葉の表面がキラキラと光って見える。


 天使でも舞い降りてきそうな、綺麗な空だった。


「死んだら、どこへも行けないよね」


 呟くように言う紗耶香に、

「そんな事ないよ」

 と、栗田が言った。


< 87 / 356 >

この作品をシェア

pagetop