たぁ坊とるぅ *32page*
「帰ろ」
次の日。
いつものように門の前で待ってるコイツ。
私は顔を見ることが出来なくて。
コクンと下を向きながら小さく頷く。
「ん」
またいつものように、何のために出すのか分からない手を伸ばしてきた。
だから私は、持っていた笛ラムネを乗っける。
「なんでラムネ?」
「持ってた」
そう言うとコイツは、私の頭にポンとデカい手を乗せて
「さんきゅ」
って笛をピーピー鳴らし始めた。
なんだろこの感じ。
うずうずして、
顔を見るのが恥ずかしくって、
コイツの体温を感じると跳ね上がる心臓。
……苦しかった。
てくてくてくてく
チリチリチリチリ
ゆっくり歩いた帰り道。
今日は、イライラよりも、ドキドキの方が勝っていたから。
それを鎮めるためにゆっくりだったのに。
「なぁ」
「あ?」
なんで可愛く返事が出来ないんだろう、私。
「具合、悪いか?」
高い身長を折って私の顔を覗き込むコイツ。
その瞳を見た途端、ほらまた心臓が。
ドキンッ
って跳ねたんだ。