ロールプレーイング17
いつも通る道なのに誰かと一緒にあるいていると、なんだか知らない道を歩いているような気持ちになった。僕はそれを不思議に感じた。
 駅前に続く道から、一本裏の道に入ると、人気はほとんど無く古い居酒屋や、スナックのような店が、二、三軒、軒をつらねていた。夜とは逆に活気は無く、空気は淀み、ビルにはコケも生えているし、低い仕切り代わりのブロック塀はところどころ欠けていた。その傷はどれも古ぼけていて、この場所がずっと前から存在したことの証となっていた。僕が生まれるずっとずっと以前から。
この道を自転車で通ることはあったけど、歩いて通ったのは初めてで、こんな細かく周りを見たり、この道のこんな雰囲気を感じとったのも初めてのことだった。

僚介は、人が一人通れるほどの細い路地に入り込んだ。普通なら気付きもしないで通りすぎてしまうような狭い路地に、、。精気を感じないこの空間に僕は少し躊躇した。こんな道の先にいったい何があるんだろうと。

「こんな所に、店なんてあるの?」
僕は先を歩く僚介に問いかけた。

「大丈夫、もうすぐだから。」

僚介は、軽く振り向きそう言って細い道を先へと進んだ。
僕は仕方なしに狭いビルの隙間に身投じることにした。狭いビルの隙間はすごく喚起が悪く、壊れかけた換気扇が擦れた音をたてて回っていた、、。換気扇の吐き出した濁った空気であたりはスモッグがかっていて。僕のためらいにさらなる拍車をかけた。だけどぐずぐずしている暇もなく、僕は僚介の背中を追い先を急いだ。
ビルの隙間を抜けると、思ったよりも開けていて、その先に同じ形をした平屋が三軒ほど並んでいた。借家だろうと僕は思った。不如意な生活ぶりがそのたたずまいからうかがえたから、、、。こんな所にこんな場所があったなんて、十七年間ずっとこの町に住んでいて全く知らないことだった。ましてや駅から二百メートルも離れていないこの場所に。頭の上に東西線のガードがあるせいか、空がとても狭く感じた。

「一!こっちだよ。」
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