この隙間、僕の存在。
「それじゃ、まあ行きますか」

周りをキョロキョロと見渡す樹裕はまるで新しい土地に来たばかりの子供……または不審者だ。

周りの人にヘンな目で見られたらどうするんだ……って、俺達は誰にも見れないのか。


「んー。で、おまえはどこに行きたいんだ?」
「そうだなぁ~。俺の家……は行きたくないから俺の昔の通学路とか、一通り歩きたい!」
「家、行かねーの?」

実はせっかくだし自分の家も行こう。とか思っている俺には樹裕の「行きたくない」が少し何かに引っ掛かった。

「……んー。別に。行っても何にもないでしょ」

だが、簡単にそう返されてしまうと、特にそれ以上訊くこともなく。

「そんなもんか」

なんて、適当な相槌しかうてなかった。


もしかして俺が自分の家好きすぎるのか……?

まぁ、いいか。


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