1970年の亡霊
 集中治療室の前では、相変わらず葛西東署の連中が顔を強張らせていた。

 屋上から戻って来た加藤の姿を見た瀧本が、

「ブンヤと話していた内容、こっちにも聞かせて貰えませんかね」

 と詰め寄ってきた。

「あいつとは高校の同級生でね。久し振りにクラス会でも開こうかって話をしただけですよ」

「加藤さん、あんまり人を小ばかにしない方がいいですよ」

「すまんが今日は当直なんで、ぼちぼち行かなきゃならないんだ」

「何ならあんたを重要参考人で事情聴取、掛けてもいいんですよ」

「容疑は?」

「偽証に公務執行妨害、職務違反の方は本庁の監査課扱いになるかな。どの容疑にします?加藤さん」

「だから何も話してねえよ。奴が勝手にこのヤマについて根掘り葉掘り聞いて来ただけだ」

「で、あんたは何て答えた?」

「生憎と俺は部外者だから何も知らねえって言ったよ。それとも、何か喋った方が良かったか」

「こっちはあんたを部外者とは思っていないけどな」

「ならば、そっちから君津署に電話入れて、こっちのチョーバ(捜査本部)に回して貰えるよう頼んで欲しいね」

 そう言い捨てて、加藤は瀧本を振り切り、病院を後にした。


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