1970年の亡霊
新日報の池谷からの情報は、加藤が以前から抱いていた疑問点を埋めてくれるものであった。
君津署の捜査本部では、陸上から死体を捨てたとして捜査方針を立てていた。
しかし、加藤は海上からの投棄を一番に疑っていた。
捜査員の一部には、加藤同様の意見を述べる者も居たが、本部上層部は海上説に全く興味を示さなかった。
機捜時代の後輩に聞き込ませたところ、池谷が言った通り、死体発見前日の深夜、不審船を海上保安庁の巡視船『うねび』が発見していた。
同日の航海記録によれば、不審船を停船させ海上保安官を乗り込ませたところ、その小型船は陸上自衛隊テロ対策特殊部隊のものと判った。
事情聴取に応じた部隊長らしき者は、夜間の上陸訓練中だと言い、不法投棄らしき行為については、隊員の潜水訓練を見誤ったのではないかと否定された。
巡視船に備え付けられたビデオのパトロールフィルムには、何かを投棄したようには映っていたが、相手が自衛隊でもあり、それ以上は問い質す事をしなかったという。
ただ、その後海上保安庁が関係各方面に問い合わせ、自衛隊の海上訓練が届け出てあったかどうかを確認したところ、その夜は全くそういった予定は無かったとの回答があった。
加えて自衛隊側は、陸自の特殊部隊なら、その存在の秘匿性から秘密裏に訓練を行う事は稀にあると言って来た。
これらの事を後輩から聞かされた加藤は、首無し死体とは無関係かも知れないなと、少々がっくりした。
ただ、この時妙な偶然だなという思いには駆られた。
自衛隊絡みかあ……
どっちにしても厄介な事だな……
これが、この時に抱いた偽ざる気持ちであった。
君津署の捜査本部では、陸上から死体を捨てたとして捜査方針を立てていた。
しかし、加藤は海上からの投棄を一番に疑っていた。
捜査員の一部には、加藤同様の意見を述べる者も居たが、本部上層部は海上説に全く興味を示さなかった。
機捜時代の後輩に聞き込ませたところ、池谷が言った通り、死体発見前日の深夜、不審船を海上保安庁の巡視船『うねび』が発見していた。
同日の航海記録によれば、不審船を停船させ海上保安官を乗り込ませたところ、その小型船は陸上自衛隊テロ対策特殊部隊のものと判った。
事情聴取に応じた部隊長らしき者は、夜間の上陸訓練中だと言い、不法投棄らしき行為については、隊員の潜水訓練を見誤ったのではないかと否定された。
巡視船に備え付けられたビデオのパトロールフィルムには、何かを投棄したようには映っていたが、相手が自衛隊でもあり、それ以上は問い質す事をしなかったという。
ただ、その後海上保安庁が関係各方面に問い合わせ、自衛隊の海上訓練が届け出てあったかどうかを確認したところ、その夜は全くそういった予定は無かったとの回答があった。
加えて自衛隊側は、陸自の特殊部隊なら、その存在の秘匿性から秘密裏に訓練を行う事は稀にあると言って来た。
これらの事を後輩から聞かされた加藤は、首無し死体とは無関係かも知れないなと、少々がっくりした。
ただ、この時妙な偶然だなという思いには駆られた。
自衛隊絡みかあ……
どっちにしても厄介な事だな……
これが、この時に抱いた偽ざる気持ちであった。