1970年の亡霊
 部屋には彼等しか居ないのにも拘らず、その男達は辺りを憚るように声を潜めていた。

「実行目標の最終チェックはどうなっている?」

「何も問題はありません」

「中国大使館を加えられるか?」

「どうでしょう。尖閣列島の件以来、向うも警備には神経を使っているでしょうから、今回調達したツールでは難しいかも知れません」

「別なツールを入手する時間はあるかね?」

「調達するツールにもよります」

「同国人ならば?」

「それでしたら、不法滞在者などが適材かと」

「その方向でプランを練って置いてくれ。奴等には思い知らせる必要がある。それに、奴等を狙えば、シビリアン達に与える影響も増すだろう」

「了解しました。最善のプランを早急に決めます」

「うん」

 男達は、暗く沈んだ眼差しを互いに交差させた。

 それらの目には、不気味に澱んだ狂気が光彩を放っていた。


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