1970年の亡霊
 深い眠りの中を漂っていた三山は、突然の激痛で目が覚めた。

 身体が強い力で抑えられているようで、自由が利かない。

 少しずつ見え出した周囲の景色に、自分が病院のベッドに居るのだと思い出した。

 看護師がしきりに名前を読んでいる。

 津波のように押し寄せる痛みに、三山は涙交じりの呻き声を上げた。

「痛みますか?」

「か、身体が……」

「身体がどうかされました?」

「あ、つ、い……」

「熱があるみたいですね。今、先生を呼んで来ますから」

「か、加藤さんを……」

「はい?」

「私の…私のケータイに、彼の……加藤さんに、電話を」

「判りました。ちゃんと連絡しますから」

 看護師は枕元のインターホンで担当医師を呼んだ。

 隣接のナースセンターから医師と他の看護師が駆け付けた。

 抗生剤と安定剤の投与が効いたのか、痛みと熱っぽさが間も無く引いて行った。




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