1970年の亡霊
「引き出しに、メモリースティックが入っているの」

 言われた通り引き出しを開け、それを手に取った。

「あるサイトについて調べた事が、この中に入っています」

「俺に預けてどうしろと?」

「これは、死んだ川合さんの部屋にあったものです。そして、三枝君が殺してしまった男が、盗み出そうとしたもの……」

「これが事件の鍵を握っているんだな?」

「はい。三枝君が殺してしまった男は?」

「消えた」

「え!?」

「部屋には血の跡しか残されていなかった」

「奴等の仕業?」

「調べているところだが、多分間違いない」

「加藤さん……」

「他にも何か?」

「気をつけて……」

「……ああ」

「貴方は…貴方は死なないで」

 突然の言葉だった。

 死なないでと言った三山の目には、恐怖の色が滲んでいた。

 返す言葉を失くした加藤に、丁度巡回で様子を窺がいに来た看護師が、

「時間ですので、そろそろ宜しいですか」

 と言った。



< 117 / 368 >

この作品をシェア

pagetop