1970年の亡霊
 先頭の装甲車から、副官の速水陸曹が真っ先に降り、店へ向かって走り出した。

 彼を援護すべく、他の隊員が自動小銃を撃ちながら続く。

「う、撃つな!撃たないでくれ!」

 重松が銃を捨て、手を挙げようとした瞬間、肩に機関銃の弾が命中し、独楽のように身体が後ろ向きになった後頭部へ小銃弾がめり込んだ。

 暴徒はあっという間に鎮圧された。

 店内に足を踏み入れると、銃弾で割れた酒瓶が散乱し、重松達がぼろ雑巾のようになって倒れていた。

 装甲車から降りた隊員が、自動小銃を構えたまま、店内に入る。

 虫の息になりながらも、まだ微かに息があるのか、呻き声が聞こえて来た。

「……い、いてえよ」

「助けて、く、くれ……」

 血だるまになり、床を這いずり回る暴徒の生き残りに、隊員は銃口を向けた。

「散々好き勝手やりやがって。何が助けてだ……」

 生まれて初めての銃撃戦で、隊員達の興奮は頂点に達していた。引き金に掛けられた指は、止められなかった。一人が撃ち始めると、居合わせた他の隊員達まで、我も我もと射撃を始めた。僅か二、三メートルの至近距離から放たれた銃弾は、虫の息だった暴徒の身体をズタズタにした。

「撃ち方止め!撃ち方止めだ!バカヤロー!止めろと言ってるんだ!」

 一歩遅れて店内に入って来た藤波が怒鳴り、やっと辺りに静寂が訪れた。
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