花の名
なんだかんだで、緊張した初めて一緒にした下校は楽しかった。
彼の最寄りの駅はあたしの最寄りの駅より2つ後なのに、一緒に降りて家まで送ってもらった。
なぜかな…
いつも長く感じる家路も
その時だけは、もっと長くあってほしいと思ったんだ。
「千尋、宿題やったか?」
「一応。もしかして金谷やってないの」
「そうですよ~だ
見してください、千尋さん」
夜、突然に金谷があたしの部屋に来た。
金谷はあたしの住んでいるマンションのお隣さんだから、しょっちゅうお互いの家を行き来している。
あたしは仕方なくさっき終わった宿題を貸した。
まるで我が物顔であたしの勉強机を使ってるから、ベッドにゴロンとなり雑誌を読む。