亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~









―――…争いという争いを、根絶やしにするしかない。




















その言葉はピクリと………前を歩くノアの身体を微かに、震わせた。

すぐ後ろの幼い少年の囁き合いを、嫌でもノアの耳は一言一句逃さず掴み取る。


「………ねだやし?…それって………どうするの?」

「意外と簡単な事だよ。………………方法はいくらでもあるけれど……これが、確実なんだ。………戦争を無くすには…………………敵を無くすのが一番だ。根を、引っこ抜けばいいんだから…」

「………………よく分からないけど………………平和になるなら、凄くいいね」

「………うん、そうだ。…平和に、なるなら…」











―――フッ…と。



それは、唐突に。
蝋燭の灯が、悪戯な風に一瞬で摘まれた様な。

小さな何かが欠落してしまった様な。

小さな、小さな喪失感と妙な物悲しさが………ノアの胸の奥で、音を立てた。








………違和感。


それは普通ならば見逃してしまう程、気付かない程のものだが…吐き気がするくらい、気持ちの悪い…。




耐え兼ねる様にノアは思わず立ち止まり、背後の二人に振り返った。

美しい模様が浮かぶ緑の瞳を丸くさせ、勢いよく振り返ってきたノアに、当然ながらレトとユノは驚いて足を止めた。

「うわっ…!?………な、何だい急に…」

「……………どうかした……?」


若干身構えながら、怪訝な表情で見上げてくる二人を、ノアはじっと見詰め…。









「………いえ、きちんとついて来ているか確認しただけです。…嫌ですねぇ、そんな兎さんみたいに構えちゃって!別に可愛い過ぎるから監禁しようだなんて考えちゃいませんよー、ああ可愛い」

「………君が言うと冗談に聞こえないな…」

< 1,332 / 1,521 >

この作品をシェア

pagetop