亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~
「……………………………ちょっと……レト……?」
……冷や汗を流しながら訝しむユノの前で……………………………少年は、レトは………無言で大粒の涙を流し始めた。
完璧に涙腺が緩んでしまったのか、溜まりに溜めていた涙のダムが、一気に崩壊した。
手元でギュッとマントを握り締め、次第に俯いていくレト。
だんだんと小さな嗚咽を漏らし、頬や耳、見開いた目を真っ赤にして咽び泣いた。
「………………あの……ごめん、ごめんなさい……えっと……え―……」
………泣かせてしまった。
……どう対処すればいいのか分からず、途方に暮れるままとりあえず、少年の震える背中を擦ってあげた。
奥歯を噛み締めて嗚咽を漏らすまいと耐え、鼻を啜る………………………狩人。
………本当に狩人?
何とも弱々しい姿。…今ここで不意打ちを食らわせれば、彼はいとも容易く素直に食らうだろう。
子守歌でも歌おうか…と、困り果てていたユノに、突然、レトの掠れた泣き言が届いた。
「…………と………い…」
「………何だい…?」
その声はあまりにも小さくて、よく聞き取れない。
もう一度、俯く彼に耳を澄ませようとした時。
………不意に、彼は涙で汚れた顔を上げ…………たどたどしい口調ではあったが、はっきりと………言った。
「…………そん…な……事……し…な………い………」
…ピタリと動きを止めたユノのマントの端を掴み、レトはそのまま彼の上等なマントに顔を埋めた。