亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~
そんな心配し過ぎて気を失いそうな母の事など完全に無視し、ユノはまっさらな丘をどんどん登って行く。
………高い所まで登ったユノの視界には、滑らかな純白の、まるで砂漠の様な光景が果てしなく広がっていた。
これ全部が元々森だったとは…考えられない。
「………凄いなぁ―……ハハハッ………あ、あっちの方が高いや…」
ユノは探検気分で滑らかな凹凸の世界をゆっくりと歩く。
「―――獲物……発見…」
………高い雪の丘が見下ろせる、少し離れた崖の上。
………積雪に溶け込む様に匍匐した状態で気配を消す………二つの影。
その内の一人が、丘の上を歩く青い髪の子供の姿を確認し………低い声で呟いた。
もう一人の方はフードの隙間からじっと標的を見下ろし、瞬きを繰り返した。
「………………あの子供が………獲物?………まぁ無邪気に走っちゃってさ。………あんな小さい子供を殺るなんて…心が痛むね―……」
「…今更だなお袋。………………丘の下にも人影が見えるが……よく見えない。…護衛か?……………とにかく、お袋は手を出すな。………俺が一発で、仕留める……」
そう言って、まだ若い青年は静かに立ち上がり、やや屈んだまま………懐から、狩人の弓を取り出した。
柄の握り部分を掴むと、棒状のそれは徐々に弓の形へと変化していき、あっという間に二メートルを越す長い弓となった。
青年は弦をそっと握り………標的の子供に、狙いを定めた。
「………ダンテ……外すんじゃないよ……」
「………分かってる」