亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~

大した運動もしていない筈なのだが、二人の兵士の顔には疲労の色が見え隠れしており、何故か、げんなりとしていた。

凝っている訳でも無いのに、肩が重く痛い。溜め息ばかりが漏れ、微かに耳鳴りまでしている。

…何なのだ、あの人は。



「………陛下もよく、あんな男を側近にされたものだ…」

「……仕事は出来るからな。執務は勿論の事、我が国の強兵にも大きく貢献されている。……だが…何故だろうな。無性に腹が立つ」

本人がいないのをいい事に、言いたい放題な兵士達。
下っ端の兵士等にとって、ケインツェルは上司の中でも上位の上司だ。敬意を向けるべき相手ではあるのだが、如何せん。あの他人を不快にさせる事しか出来ない質の悪い性格が、忠誠心を揺るがさせる。


「武術に関しては、からっきし駄目だそうだ。体力も人並み以下だと聞いた事がある。……まだ若いのに、側近とは大層な御身分だな。どうやってのし上がっていったんだか…」

「どうせコネか何かだろ。それか、生まれが貴族だとかそんなものに違いな………」




軽い談笑をしていた兵士達だったが、不意に………その内の一人が口を閉ざした。

勝手に会話を中断し、小さく首を傾げる。
……その彼の不可解な様子に、もう一人の兵士は怪訝な表情を浮かべた。

「………どうした?」

「………………いや……ちょっと……………………………おかしいな……思い出せない…」

「………何がだ?」


急に何を言い出すのかと思えば。「……その…」と、兵士はやはり首を傾げながら、ポツリと呟いた。


















「………ケインツェル様は…………………………いつから、この城にいらっしゃっただろうか…?」
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