亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~
……自責の念に駆られるのも、無理は無い。
ユノが危機に面した時に、一番近くにいたのはレトであり……守る事が出来たのも、レトただ一人だけだったのだから。
悔やんでも、悔やみ切れない。
………根が暗い息子だが、ここまで沈鬱な息子を見たのは初めてかもしれない。
見るに堪えない程可哀相なレトに、ザイは声を掛けた。
「………何か……分かった事はあったのか…」
昼間の襲撃の際、レトだけがあの場に一時止まった。
……あの素性の知れない金髪の女と、眼帯の青年に関して、何か情報は得られたのか。
「………………フェンネル…って………言ってた…」
「………………敵なのか…?」
「………よく……分かんない。………………でも………敵じゃないとは………言えない…」
敵か、味方か。
はっきりとは分からないが、警戒を解いていい相手ではないと、判断する。
………たとえ味方であったとしても。
………他人の手は、借りぬ。これは我々に課せられた使命なのだから。
ザイは、息子の背に全てを委ねている、動かぬ王子に目をやった。
一粒の雪も彼に触れられない様に、頭から爪先まで全身をマントに覆われている。
……所々雪がちらつくマントは風に揺れてなびいており、その下の小さな身体は、一向に動く気配が無い。
まるでレトは、人形を背負っている様だった。
先程見た、血の気の無い蒼白の顔を思い出しながら、ザイは奥歯を噛み締める。
………微かに息はあったが………依然として危険な状態である事には変わりない。
我々でどうにかなる様なものではないだろう。
(………街に行かねば…)