亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~


彼がこうなったのは、僕のせい。

全て、僕のせい。


大事な、大事な、大事な……約束を……僕は…破った。

後悔してもしきれない。

もし彼がこのまま…目を、覚まさなかったら……。



「………全部僕のせいだ……。………もう……約束を破りたくなんかない……だから………今度は、絶対に……」

「………お前の気持ちは分かる。…だが、避けられない事も…」

「―――…そんなの分かってる!」


こちらを見上げる紺色の瞳が……大きく揺らいだ。
大きな父の姿が、涙の膜で歪んで見えた。


「……分かってるよ………だから父さんは…僕にいつも言ってるじゃないか。………常に先を予測しろって……何通りも…最悪の事態を想定しろって…。………だけど僕は……こんな事になるとは思わなかった………結局、何一つ出来てないんだ…!友達としても、狩人としても失格なんだ!」

「…レト」

「僕は父さんとは違う!!」

鳴り響く吹雪きの轟音が二人の間を走り抜けると同時に、レトは一歩……父から後退した。
その一歩が、やけに……遠く感じた。



「…僕は父さんみたいに……力も無いし…強くもない…。……臆病で…泣き虫で…物凄く弱くて………父さんがいないと、駄目だった。……けど……だけど………それでも僕は、どんなに怖くても、僕は………絶対に守るって……誓ったんだ…!」




………ありのままの感情を、途切れ途切れの言葉にしてぶつける。訴える。

小さな身体で、自分はここにいると主張する。



罵倒する様に。

噛み付く様に。







泣き喚く、幼子の様に。

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