亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~
二つの瞳が映す世界は、数秒の静寂と、忍び寄る空虚な殺意を目の当たりにした直後。
何も無い、真っ白な世界へと、変貌した。
空気が青い。空気が白い。青と白だけの、世界。
突風などという言葉では表現しきれない、風の中の風。
荒れ狂う爆風が、韋駄天の如き速さで地を駆け巡った。
凍てついた木の群れが、儚げな葦か薄の様に、揃って身体を傾ける。風に吹かれて、揺らめきながら。
傍若無人な風は、厚い積雪や巨大な一枚岩、地盤をも削り、我が物顔で吹き飛ばしていく。
削りに削られた瓦礫の山は、竜巻に巻き上げられる様に宙に投げ出されたり、巨大な谷の口に吸い込まれていった。
四方八方に、凄まじい衝撃波が叩きつけられた。
「―――っ……!」
目には映らぬ物凄い力が体当たりしてきたかと思えば、次の瞬間、レトの身体は真っ白な積雪の上を転げ回っていた。
…何が起きたのか、分からない。
襲ってくるのは、全身を強打した様な痛みと雪の冷たさ。
レトの頭は混乱し、一瞬思考停止に陥ったが、働かない意思に反して身体は素早く動いた。