亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~

………なんて、情けないのだろうか。
人一人…守る事が出来ないなんて。

…馬鹿みたいに自分は……父に、喚いていただけだ。
本当に、馬鹿みたいに。


先程の愚かな自分の姿を思い返しながら、独り悔やむレト。
フードを外したその頭に………頭上から、雪の塊が被さってきた。
……それと同時に、酷く安心する声が、不意に落ちてきた。












「―――…レト!」


……一瞬、幻聴ではないか…と思ったその声の方を見上げれば……不安げなレトの表情は、途端に幾分か和らいだ。

「………父さん…」


……数メートル上の、雪に覆われた崖の縁から……見慣れた父の姿が覗いていた。
大きな父が、今は小さく見える。
先程の嵐の爆風故か、ザイの姿は最後に見た時よりも少しボロボロだった。普段は深く被りっ放しのフードも外れ、短い髪が乱れている。手足や顔には、所々擦り傷があった。

そのザイの傍らには、サリッサの姿もあった。オロオロと落ち着かない様子で、成す術も無くただこちらを見下ろしている。

…レトは小さく唇を噛み締め、掠れた声を父に向かって投げ掛けた。

「………………父さん……ごめんなさい……さっき……僕………………………ごめん…なさい…」

「レト、話は後だ。………早く…ナイフで足場を作りなさい。……登れるか…?」

「………うん…」


言われた通り、レトは数本のナイフを取り出し、目の前に立ちはだかる壁に突き刺しては、それを足場にして少しずつ上がっていった。


……少し登る度に、脇に抱えたユノがぐらりと揺れる。ナイフが二人分の重さに耐えられるかは分からないが、とにかく足を掛けて行く。
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