亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~














「―――…いつの世も、生き物は自然と共にあり……支配されてきた。私達は、抗えない。………それでも我が物顔でこの大地を歩く我々に……自然は、時として鉄鎚を下すのだと私は思う。………猛威となって、な。………そう思わないか、ジン」

「…おっしゃる通りであると」








木々を薙ぎ倒す第一の衝撃派の爆風が吹き荒れてから、僅か数分後。

消える事も無ければ、衰える事も無かった上空の青い嵐。
何の前触れも無く、音も無く………それは破裂した。


―――…カッ、と青白い光が薄暗い空一面に散乱したかと思えば………目に見える青い風が、地上に真っ逆様に落ちてきた。


それは地面に降り立つや否や、物凄い速さで生き物の様に地を這う。
青い風が過ぎ去って行った跡は、厚い氷のオブジェしか残っていなかった。


木々も、土も、積雪さえも………全てが一瞬で、凍て付いていく。





滑らかな動きで押し寄せる青い風、氷点下どころではない冷風は、静かに佇む二人の人影にも向かっていた。



口を開いた風の悪魔が、勢いよくこちらに向かってくる。

その巨大で悍ましい自然の猛威の形を目の当たりにしながら、ローアンはゆっくりと瞼を閉じていった。

傍らに立つジンは、見える左目で冷風を凝視している。









「………行くぞ、ジン」

「はっ」





本の数秒の短い会話を交わした二人。
牙をむき出しにした冷風が二人を飲み込もうとした寸前………二つの人影は一瞬で黒煙と化し、姿形も何も無くなった。


冷風の口は、虚無を飲み込んだだけだった。

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