亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~
「有り得ない!!有り得ないってちょっと!!口の中に雪とか砂とか………………枝が…!?」
「うるっせぇ―!!」
…突如頭上から真っ逆様に吹き付けてきた爆風により、その威力に押されて顔面から谷底に溜まった積雪にダイブしたイブとリスト。
口に入った砂利諸々をペッペッ、と吐き捨てるイブの隣りで、リストは現状を把握すべく頭上を見上げた。
歪んだ谷の口から見える空には、青白い光が渦巻いている。
………風、だろうか。それは絶えない尾を引きながら、地上を忙しなく駆け巡っている。
「………今の…嵐だったんじゃないか?」
「……っぺ…ぺっ………あ、嵐ぃ?………確かにそんな感じだったけど……でも嵐って、ただの風じゃないんでしょ?」
…爆風である事は確かだったが、嵐は冷風という末恐ろしいものも従えている筈だ。
「…分からないが………よく見ろ…。………雲行きがなんか怪しい…」
二人揃って見上げた空では……雲行き、と言うより風行きが確かに怪しい。
青く光る風が、地上を蛇行している。
先程から雪ではなく、氷の欠片が降ってきているのは、はたして気のせいだろうか。
………少し尖った氷が、額を直撃した。
あ、痛い。気のせいなんかじゃない。
それに加え、青い風は…。
「………なんか…こっちに降りて来てない?」
風は地上のみならず、この谷底にまで目を向け出した。
この薄暗い中でも、谷の縁が少しずつ凍て付いてきているのが見えた。
………冷風だ。まだ勢いは無いが……多分、また爆風に似た第二波が来る。
遥か遠くの上空から、風の嫌な唸り声が聞こえてきた。