亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~
半ば夜空へと変わりつつあった世界に煌めいたその閃光は、それはそれはもう…とても綺麗で、ダイヤモンドダストの様な細かな光を散りばめさせていて、澄んでいて、青くて。
ユノの綺麗な髪の色と、同じくらい…。
音も無く、巨大な嵐は第二波を放った。
オーロラに似た青い風が、空から地上へ落ちてくる。
その手に撫でられ、その牙にかかったもの全てが………半透明のオブジェへと姿を変えていく。
空っぽの殺意が、地上を食い散らかす。
迫り来る冷風は、肉眼でもはっきり見えた。
谷沿いに降り積もっていた大量の雪を巻き込み、大きく開いた谷の口に沿ってそれは流れ込んできた。
………まるで、大きな雪崩だ。
真っ白な悪魔が物凄い速さで近付いて来るのを、レトは横目で捉えていた。
………本の一瞬だけ瞬きをしたと同時に、レトはユノを抱える腕にギュッと力を込め…。
………意を決して、地上を見上げた。
「…サリッサさん、すぐ後ろに岩があるでしょ。……早くその後ろに隠れて…」
不意に呼ばれたサリッサは、真っ赤な両目で慌てて背後に振り返った。
…レトの言った通り、そこには巨大な一枚岩が瓦礫の上に無造作に横たわっていた。
第一波の爆風で、何処からか飛んできたものだろう。
息子の口から出た意味の分からない言葉に、ザイは驚愕の表情を浮かべた。
「………何を言っている…!……レト…!」
「サリッサさん、父さんを引っ張って。早くしないと……皆死んじゃう」