亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~


フードを被っていて、顔は見えなかったが…次にあった時は、その面に被った小言ばかりの仮面をひっぺ返してやる…。

(馬鹿だわ…!…親子揃って喚いて……父さん父さんって………………)






















………親子、揃って…。






















(………)





























…胸中で燻っていた苛立ちが、急に………冷めた。




焚火に背を向けたまま両手で膝を抱え、独り、縮こまる。
薄く開いた唇から漏れ出る溜め息は、濃い乳白色の煙の様にゆっくりと昇っていき、消え失せた。























「………………親子………ね………」



………なんて、素敵な言葉なのだろう。

…なんて…。












(………………お父…様…)

…大長である父が幽閉されてから、一年あまりが経っている。
………もう、一年も会っていないのか。

威厳高い姿も、大好きな笑顔も、安心するあの声も、大きな手の温もりも……鮮明に、覚えているのに。


ドール、と…自分を呼ぶ父の声は、何処にも聞こえない。
何処にも、いない。



…時々、唐突に…寂しくて寂しくて仕方ない時がある。目頭にほんのりと熱が篭り、しょっぱくて温い涙がこぼれ落ちそうになって、周りに悟られない内に慌てて拭う。
………仲間の大半は知っている様だけれど。特に白槍と黒槍の二人は、何かと気を遣ってくれる……少々、お節介な奴らだ。

こんな小娘の相手をしてくれて、嬉しいと言えば嬉しいが。













どうしようもなく悲しくて、心細い時は……父には会えないが、父の姿を見るようにしている。


会えなくとも、様子を窺う事は出来る手段が一つだけあるのだ。
< 782 / 1,521 >

この作品をシェア

pagetop