ツインの絆

部屋に戻った孝輔は自分の中に快い余韻が残っている事に驚いた。


父のリクエスト曲を、大輔に助けられながら
必死にアレンジして何とかバイオリンでこなした。


大輔の調子はずれの音にもめげず… 
みんな何を思ってか手拍子までして喜んでいた。


父が言った様にみんな元気になり… 
そして孝輔はその中でも
自分が一番楽しかった事に気付いた。


やっぱり僕はバイオリンを続けたい。


あの澄み切った空気を震わすように、
研ぎ澄まされた弦の凛とした音色… 
別に母の押し付けでは無い。


自分が好きなのだ。


きっとどんな人生になったとしてもこの気持は不動のものだ。





そんな事を考えている孝輔の耳に、
お手伝いの則子が大輔を呼んでいる声が入ってきた。


電話のようだ。もう時刻は八時半を回っている。


剣道部の連絡か、と思っていた孝輔だが、
すぐに大輔の孝輔を呼ぶ大きな声がした。



「何… 」


「孝輔、お前、俺の応援に来る時に坂上さんを連れて来てくれないか。
彼女も俺が戦うところを見たいって。
あ、今、話中だから、お前、自分で返事をしてくれ。」



そう言って大輔は、ダイニングから
父が寝転んでテレビを見ている座敷の方へ、
コードレスの受話器をもってきて渡した。


坂上さんと言われても孝輔には誰かも分からない。


何となく戸惑いながら、それでも渡された以上、一応受け取った。
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