ツインの絆

「ただ、ばあちゃんと千草の違いは… 
ばあちゃんはいつも謙虚で道子おばさんを第一に考えていた。

しかし千草はお嬢さん育ちで、
たとえ途中で破産して貧乏な暮らしをする羽目になったとしても、
生活が安定すれば… 俺はあいつを信じていたが… 」



そう言いながら顔を曇らせた父を見て二人の心は痛んで来た。


その事は必死で忘れようと務めて来た。


母の事は、浮気の醜聞と供にいろいろな事情も分っている二人は、
父に思い出させたくは無かった。


もう二年も経っているのだから、少なくとも父には思い出して欲しくなかった。


どうしてこんな話になってしまったのか。


戸惑う二人を前に、父は話を続けている。



「しかし、道子おばさんに言わせれば、
俺が男として夫として甲斐性が無かったことに尽きるそうだ。
今では俺もそう思っている。

それでも俺はお前たちを見て、
父親としては何とか頑張っているつもりだったが… 
今の大輔の言葉を聞いて脳天を割られた。

大輔、悪かったな。
ああ、確かに俺はお前の気持ちを考えないで、安心していた。

自分で選んだ剣道を頑張ってやり… 
お前は安心して見ていられる子供だった。
その陰に潜んでいた孤独の心を分かってやれなかった事が悔しいよ。」


「父さん、そんな事はたいしたことでは無いよ。
確かに淋しく感じたこともあったけど、俺、いつも何となく忙しかった。
だって孝輔から目が話せなかっただろ。

別に頼まれたわけではなかったけど、
孝輔がバイオリンを弾いているのを見れば自分が弾いているような気分になっていた。
だから二人分の人生を味わっていたようで… 」


「大輔… 」




孝輔は初めて聞く大輔の自分への気持に戸惑っていた。
< 197 / 205 >

この作品をシェア

pagetop