ツインの絆
父の、その顔には心から悔いている様子が現われている。
「父さん… 別に俺は… 俺はただあいつを嫌いなだけで… 」
父のその様子に驚いたように、大輔は慌てて言葉をさがした。
孝輔もその様子に思わず父の顔を見つめた。
「ああ、もっと前にそのことに気付くべきだった。
俺はお前たちの父親だからな。
自分の甲斐性無さから和也を母親の無い子にしてしまった。
その穴埋めのような気持で,千草と結婚してお前たちが出来、
俺は家族が多くなり嬉しかったが、子育てと言うのは難しい。
俺は千草が、俺には出来ない事だったが、
真理子と孝輔に音楽の道を教えてくれた事を感謝している。
本当だ。道子おばさんは和也を見て自分の昔を思い出したのだろう。
源次郎じいちゃんも朝子ばあちゃんを後妻にして、
俺の母や日名のおじさん、安城のおばさんを産んだ。
だから先妻の娘である道子おばさんは淋しかったと思う。
兄に当たる東京のおじさんは怒って家を出て行ったぐらいだから、
残されたおばさんは…
すぐにばあちゃんには俺の母が出来、次々に…
だからおばさんは自分と同じような生い立ちの和也を可愛がってくれた。」
いきなり父が昔の話を始めた。
断片的には何となく聞いたような話だが、はっきりとは誰からも、
ましてや父の口からそんな話を聞くことは考えてもいなかった。
それまで怒っていた大輔も萎縮したような気持になり、
孝輔と、思わず顔を見合わせていた。
真理子の事で何故そんな話になったかも分らなかった。