傷の行方
すると



統括課長と統括部長が


半笑いした


思っていた通りの


リアクションをとったのだ



そして私は



静まりかえっている


事務所で



スーツの上着を脱ぎ


左腕の部分の


ブラウスを肘まであげ


I字のカミソリを


手首に突き付け


同じように


半笑いしながら



「辞めさせてください



理由は変わりません」



と言うと


統括課長がびっくりして


「おい待て」と


真剣な顔をした



ヘラヘラして


受け入れてくれなかった



半年前に辞めていたら



私は考え込み



退職届を受け取るのを


待ったが


統括課長と営業部長が




顔を見合わせた



その瞬間に怒りが


頂点に達した



私の身体には


認めたくなくても


父親の血が流れている



「受け取ってくれないのですか」


脅しではない


身体を張って


私は会社を辞めたいと



言っているのに



そう思った瞬間に



左手首に突き付けている


カミソリを強く押し付け



強く引いた



血が大量に流れている



退職届を受け取るまで



私に触るなと



駆けつけてきた


統括部長を振り払った



「暴力は嫌いなんです。早く受け


取ってください」




と言うと統括部長は



退職届を受け取り



「わかった」と言ったあと



営業部長を連れていった



統括課長が



止血しようと


近づいてきたが



「私の身体に触るな」



と言って鞄と上着を持ち



私は帰った


それからは


一度もその会社に


行くこともなく



事務的なことは



郵送ですべてやり



解放された

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