傷の行方
倒れているのを


発見されてしまったのだ



ドアに鍵はもちろん



ドアチェーンもかけて



彼がいつも帰ってくる3時間以上早く



私は手首を切ったのに



気がついたら病院にいた



彼は無言だった




病院から帰宅すると



私の体の中を流れていた



血液が大量にあり



ドアチェーンが切られていることに



気がついた



責めるような顔はしていなかった



仕方がなかったねという



そんな顔をしていた



「お前が無事で良かった」と



彼は笑顔で言った



私は謝った そして



もう彼とは一緒にはいられない




こんな私では彼を



辛い思いにさせるだけだと



私は決心して



彼に別れ話をきりだした



彼は別れることなど



考えていなかった
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