桜ノ籠 -サクラノカゴ-

「こら、一人で思い込まない」

くしゃくしゃ、
と、青磁先生は私の頭を優しく撫でた。


「聞いた?桜と同じ日本の国花だって」

うつむく私のすぐ近くで、青磁先生の声がする。


桜と、同じ?


「えぇ、春が桜なら秋は菊です。
今はもう12月に入ったので暦は冬ですが、菊が綺麗な時期ですよ」

そう言って、
店員さんは手にした白い菊の花を、水の中に再び浸す。



「…はい、本当に、綺麗です」

そう言葉にすると、
なぜか、
僅かに涙で視界が滲んだ。



本当に、
本当に、綺麗。


小さな、その白い花は、
空を向いて、

真っすぐ、咲いていた。



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