桜ノ籠 -サクラノカゴ-
さわ、

静かに風が吹き抜ける。

その風を追うように目線を上げると見える、
その風景。

いくつも整然と並ぶお墓。
その向こうに大きなお寺。


その光景が目に入ると、
一瞬にして、記憶がさかのぼった。




『いや……。行かない。行きたく、ない』

『伽羅、行こう。一緒に和季を最後に送ろう』

『さい、ご?最後って、何?なに?』

『和季をお墓で眠らせてあげるの』

『…やだ、やだ。やだよ!』

『伽羅!家族の私達がちゃんと和季を眠らせてあげないで、誰がするの!
今いかないと後悔するわよ!』



あの日、

お母さんにそう言われて、
支えられるようにして、

私はここに来た。



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