金魚姫
家に帰ってからもビーチボールの驚いた顔、プールに混ざっていった涙がヨータの頭から離れなかった。


ヨータは今まで女の子を泣かせた事などなかった。

自分が泣かされたことはあっても‥‥


一人っ子で大人の中で育ってきたヨータは、相手の気持ちを敏感に察することができるようになっていた。

  まるくおさめる


どこに居ても、誰と居てもその役割は自分だと思い、そうすることが一番だ。


でも今日はその役割がはたせなかった。

もしかしたら涙の原因も僕の一言だったりして‥


そんなことをベッドに仰向けになってグルグルと考えていた。


そして、懐かしい色に染まったプールに浮かぶビーチボールの顔をリプレイしていた。
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