心の中の宝物
机には二万円が置いていた。


「うわ!すげー大金。」


私は亜美を真剣な眼差しで見た。

繋がれた手に力が入る。


「桜?」

「亜美あのね・・・しばらく私を亜美の家に置いてほしいの。もう大丈夫だと思ったんだけど、この家には悲しい思いでもあるけど楽しい思い出もいっぱいある。そんな家に一人でいるのは、やっぱり寂しいし思い出してしまう。逃げるのはよくないと思うけど、少しの間だけでいい。居させて?」


私の目に涙がうつる。


もう何回泣いているんだろう・・・



そんな私を亜美は抱きしめてくれた。


「桜。いつまでも居ていいから。私にとっても桜は命の恩人なんだよ?」


え?

命の恩人?



亜美の目にも涙が見える。


この日が亜美が私に見せてくれた初めての涙だったね。



私たちは少しの間抱き合ったままだったけど、お腹の減りがピークを超えていたので生活に必要なものと通帳を持って家を後にした。

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