ひまわり畑と彼の記憶(短)










彼から零れた言葉は、私の中にストンと落ちてきた。

一瞬、何が起きたか理解できないように固まってしまった頭が、一気に動き出す。


「タマには、伝えておきたかった」










「そっか、おめでとう!」


上手く笑えた。

「ありがとう」と返してくる成くんを素直に祝福できた。悲しくもないし、寂しくもないし……むしろ、嬉しかった。


10年も会っていない私に、わざわざ伝えるために亜衣に怒られて何度もここに戻ってきて。


「タマは俺にとって凄い大事な存在だったから、言っときたかったんだ」



“大事な存在”



その言葉だけで十分だった。





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