†Helfin Reise†
するとシャワールームから音が聞こえてきた。

急いでドアを少し開けると、カーテン越しに女の子がシャワーを浴びているのがわかった。

安心したリグルは、ベットに寄り掛かりアルスを撫でた。

「アルス、さっき長って人に不思議なことを言われたよ。」

アルスは答えるように喉を鳴らす。

「父さんのこと、知ってんのかな?だったら<ネグロシオン>のことも何かわかるかもしれないな。」

アルスは気持ち良さそうにリグルの手にじゃれる。

ガチャリとドアが開き、リグルは撫でる手を止め扉の向こうを見つめる。

扉の向こうからは、さっきまで気を失っていた女の子が赤み帯びた顔で濡れた髪を拭きながら現れた。

「あ。」

女の子はリグルの目線に気がつき、あたふたしながらリグルの前にちょこんと座った。

「えっと…、あの、そっその…」

リグルは女の子がまさか、自分の目の前に座るとは思っていなかったのか、ふっ。と吹き出してしまった。

「えっ?」

女の子は余計どうしていいかわからなくなり、手を上下に振ったりしていた。

「君、名前は?」

唐突な質問に戸惑いながらもやっと大人しくなり、答えた。
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