†Helfin Reise†
長はうんうん。と頷きリグル君は部屋に戻っていて構わないよ。と言った。

「明日の朝、報酬を貰いにカウンターまでおいで。サラには報酬を渡しておくよ。」

「ありがとうございます。では、これで。」

リグルは一礼し、階段に向き直ろうとしたとき、長はリグルを引き止めた。

「君…、ティオの息子だろう?」

「え?」

(何故この人が俺を?確かに俺はオステンの者だが…、ここまで来たことは一度もないはず。)

「いや、明日にでも詳しく話そう。君の知りたいことを、私が知っているかも知れない。」

にこりと笑い、長は自室へ歩いた。

長が立ち去ったギルド内はまた賑やかとなり、次第に騒がしさも感じた。

「あの…、リグルさん?」

サラと呼ばれたカウンターの女の子は、リグルの肩を叩き様子を伺った。

「あ、いや。なんでもない。」

リグルは足早に階段を駆け登り、部屋に入った。

サラはその様子を見、キョトンとしながらもすぐ仕事を再会した。

部屋に戻ると、ベットの近くにアルスがスースーと寝息を立てて眠っていた。

先程の驚きは忘れ、アルスの傍に寄った。

ベットの脇に来てやっと女の子がいないことに気がついた。

(女の子は!?)

リグルは焦り部屋中を見渡したが、何処にもいなかった。
< 9 / 21 >

この作品をシェア

pagetop