約束 ~生きていく君へ 余命半年と告げられて
「ごめんなさい。真幸さん。」
温人のことを聞きたくて訪ねた
温人の実家。
ご両親がわたしに頭を下げる。
この家に来るのは本当に久しぶり。
以前来た時は、わたしも温人も
笑っていた。
結婚のお許しを反対される事
もなくすんなりといただいて
ご両親にも祝福されたっけ。
だけど、今は温人はいない。
「お義母さん、温人さんがどこに
いるかご存じありませんか?」
「真幸さん、ごめんなさい。
わたし達にもわからないの。
あの子のことは忘れてもらって
いいから。
あんなバカ息子。あんな親不孝もん。
忘れて真幸さんは幸せになって。」
お義母さんの目から流れ落ちた
涙の意味に、お義かあさんの言葉の
意味に気付いたのはこれからずっと
後だった・・・。