恋心
「だから恵理、早く好きになって。
そいつを好きになって、告白してファーストキスして。
早くしないと、そいつもっと狂うから。」


肩から手を外してくれない。


指が肩に食い込んで来る。

「痛いよ、徹ちゃん。」


「あっごめん。」


今気づいたみたいに、手を離してくれた。


無意識につかんでいたの?

「おかしくなるのは、徹ちゃんなの?
徹ちゃんが、『そいつ』って呼ぶ人なの?」


「そうだよ、恵理。
恵理が早く好きにならないと、俺も『そいつ』もだめになる。
恵理、『そいつ』はだれかわかる?」


徹ちゃんが私の目を見つめる。


「そんなのわかるわけないでしょう。
今日の徹ちゃんおかしいよ。」


涙が出てくる。


「もう、わけわかんない。
ふぇーん。」


涙が止まらない。


「うわ、ごめん、恵理ごめん。
泣かないで恵理。
ごめんって。」


徹ちゃんが必死に慰めてくれたけど、しばらく涙は止まらなかった。
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